赤ちゃんドラゴンのお世話係に任命されました 2




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 -あらすじ-

 ある日突然、異世界に召喚されたドッグトレーナーの菊池結衣。
 聖竜ソラを育てた「ドラゴンの導き手」として、とある雪国のお祭りに招待される。
 そこで、フィアという可愛い赤ちゃん竜に出会った結衣。
 聞けば魔族に母親を殺されたフィアは、強くなるためソラに弟子入りしたいのだとか。
 その健気さに感動した結衣は、ソラと一緒にフィアを特訓することにしたけれど――?
 平凡女子が、異世界で竜の子育てに奮闘するハートフル・ファンタジー第二弾!

 出版社アルファポリス レジーナブックスより
  

 お値段:定価 1200円+税
 全国の書店やオンライン書店にて販売中。

◆レジーナブックスの特別番外編小説にて、おまけ番外編をご覧になれます。
 「異世界で、『はい、チーズ』」
 ……旅の準備の間、暇を持て余した結衣は、スマートフォンを取り出して知り合いを撮影して回る。
   という感じな内容のSSです。
 無料で閲覧できますので、興味を持たれた方はどうぞ。


 おまけss「お姫さまと王子さま」

 リヴィドールの一団を見送った後、リディアは自室でお茶をしていた。
 そこに兄である王太子がやって来た。

「リディア、リヴィドールの皆さんはもう発たれたのだな」
「ええ、とっくに。お兄様ったら、遅すぎますわよ」

 結局、兄は女神の降臨祭でしか、まともに聖竜や盟友、竜の導き手と会っていない。
 国王に代わり、警備や軍事方面を一手に引き受けているせいだ。
 兄は向かいの長椅子に乱暴に座る。

「文句なら魔族に言ってくれ! 後片付けや警備の見直しなどで、こちらは大忙しだった。
あんな連中の国と隣り合うリヴィドール国には頭が下がる思いだよ」

 大きな溜息を吐き、兄は侍女が用意した紅茶を飲む。

「リヴィドールの英雄と、杯をかわしたかった」
「またお会いになればよろしいわ。次は……結婚式で会えるかもしれませんわよ」
「は? 結婚?」
「わたくしの嫁ぎ先が決まったら、導き手様をご招待しようかと」

 うふふと微笑むリディアを、兄は怪訝そうに見る。

「お前のことだ、女の戦いでもけしかけて、リヴィドールの王を籠絡するかと思っていたぞ」
「そうですね、あの方とご縁があったら素晴らしかったでしょう。
でも、わたくしにはあの方の王妃は荷が重いですわ」

 今回のことで、魔族の恐ろしさが心底身に染みた。
 最前線の国に嫁げる程、リディアの肝は太くないらしい。

「導き手様は、すごい方でしたわ」

 渦中にいたリディアはほうっと溜息をこぼす。
別れ際には、裏表がなく親しみやすそうな人に見えていた。

「お友達になりたいわ」
「ぶっ」

 兄が噴き出し、激しく咳き込む。
 ようやく落ち着くと、信じられないという目でこちらを見た。

「お前がそんな可愛らしいことを言う日が来るとは!」
「うるさいですわよ、お兄様」

 リディアがじろりとにらむと、兄は怖そうに身を引く。
 そして優しい顔になる。

「手紙を書いてみたらどうだ」

 それもいいかもしれない。
 リディアは窓の向こうを見やる。帰路についているリヴィドールの一団を思い浮かべた。
 彼女の赤い唇に、ほんのりと笑みが浮かんだ。


 ……終わり。


 2017.2/18


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