異世界戸建て精霊つき




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 -あらすじ-

 タケノコ狩りの途中で異世界にトリップしてしまった沙菜。
 右も左も分からない森を彷徨い歩いた彼女は、そこで朽ち果てた洋館を見つけた。
 中に入ると、身体が半透明の幽霊のような男の子が!

 その子は突然、「僕の魔術師になって!」と頼み込んできた。

 どうやら彼は精霊で、魔術師と契約したいらしい。
 その願いを叶え彼を成長させれば、元の世界に帰してくれると言う。
 沙菜が恐る恐る契約すると、洋館がいきなり綺麗な小屋に変わった。

 なんと、精霊と洋館は連動していて、小屋になってしまった家に力を注ぎ、
レベルアップさせることで彼も成長するのだそうだ。

 こうして、家のレベル上げに奮闘する沙菜だったが、
 やがて、何だか訳有りの男性まで拾ってしまい!?

 出版社アルファポリス レジーナブックスより
  

 お値段:定価 1200円+税
 全国の書店やオンライン書店にて販売中。

◆レジーナブックスの特別番外編小説にて、おまけ番外編をご覧になれます。
 「ラビナと飲み会」
   後日談。ラビナと飲み会する小話。
 門番のダンも出てきます。

 無料で閲覧できますので、興味を持たれた方はどうぞ。


 おまけSS「とある門番の失恋」

 どうもこんにちは、俺は門番Bです!
 Aは誰かって? ダン先輩ですよ。
 俺は新人で、ダン先輩にはとてもお世話になってます。

 田舎町イドで、俺は門番をしています。
 町は城壁で守られているのですが、犯罪者やシャドウが中に入らないようにするため、
門番はとても大事な仕事です。
 この地方の領主に仕えている立場なので、お給料は結構良い方。
毎日体を鍛えて、じっと立ち、出入りを監視して、不審に思ったら声をかける、そういう仕事をしています。
 俺はのんびりしているせいでしょうか、じっと立っていることがほとんどなのですが、
結構向いていると思っております。
 イドの町の門番は四人いまして、交代で勤務しています。
 当番の時は二人で仕事なんです。一人は門のすぐ裏にある詰所にいて、
もう一人は門の前という配置ですね。
 彼女がやって来たその日はダン先輩が門の前、俺が詰所の日でした。
 のどかな田舎町なので、不審人物なんて滅多といません。
たまにやって来る商人と会話するか、流れの戦士に声をかける程度。
 そんなある日、ダン先輩が一人の旅人に声をかけました。
 見かけない顔だったので、質問したようです。
 
 それが、とても可愛い――それでいて美人な少女でした!

 生成り色のような肌をしていて、小柄。肩までの黒い髪はさらさらしていて、
真ん丸な目は黒曜石のように輝いています。
 カレンドラ王国の美女の条件は、色白、小柄、黒髪です。
全てをそなえたパーフェクトな少女でした。
 この国の人間は、褐色の肌をしているので、色白といっても、
周りに比べればという程度なのですが、この少女は別枠でした。
 なんでも東にある辺境の国から来たのだそうです。
 しかし長旅をしてきたわりにはどこか抜けていて、通行税一エランに、玉なんて出したので、
ダン先輩はすっかり心配して――ちょうど娘さんと似た年頃なので、親近感が湧いたのでしょう――
彼女のために町を案内してあげていました。

 俺はといえば、先輩の代わりに門の前に立ちながら、あれは白昼夢だったのかで悩みました。
 だいたい、美人というものは苦手なのです。好きですが、美人は俺みたいな平凡な男には
だいたい冷たいのが相場です。「お前みたいなのに話しかけてくる価値などない」なんて
幻聴が聞こえてくる程ですよ。
 だからすっかり偏見を抱いていたのですが、彼女はしがない門番の俺にも、
ぺこっと会釈をして通り過ぎていきました。

「先輩、お帰りなさい! どうでした?」

 戻ってきたダン先輩はどこか呆然としていました。

「さっきのお嬢ちゃん、二十三歳だってよ」
「嘘でしょう!?」
「ランドルフじいさんの後継になって、精霊つきの館に住むことにしたそうだ。
これからちょくちょく来るらしい。未婚らしいぞ」
「まじっすか!」

 これはチャンスではないかと、若い俺は色めきたちました。
 それから毎日、あの女性が来ないかとわくわくして門に立っておりましたが、
しばらくしてあっけなく失恋したことは、他の人には黙っててくださいね。


 ……終わり。


 2017.3/3


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