白浄花の輝き編 第二部 再会

モノローグ・b 

 そこは真っ白な空間だった。
 白い大理石の床と、白い柱に壁。澄んだ水晶のように、透明でキンとした空気が流れている場所だった。
 そこに紅い絨毯が敷かれ、銀色の玉座のすぐ後ろには紅い垂れ幕が下がっていた。
「支倉明美、ただ今参りました」
 銀色の玉座の前の三段の階段の下に片膝を付き、明美は凛とした声を発した。
「頭を上げよ」
 鈴のような声に、明美は顔を上げる。
 その先には、玉座に座る金色の女性がいた。金髪は豊かに長く、着ているドレスは深い緑色で、そして同じ深い緑の目をもった、美しい人である。
 明美に生活する場所と、この世界のことと字を教える教師を与え、そして明美の存在を受け入れてくれた女性だ。
 明美は彼女に大きな信頼を寄せていた。
「アケミ、そなただいぶこの地に慣れたか?」
 女性…、ラトニティア王国を統べる女王の問いに、明美は頷いた。
「はい、陛下。陛下の配慮で、だいぶ慣れることが出来ました。本当に、ありがとうございます」
 明美の礼に、女王は目元を和らげる。
「そうか。それを聞いて安心した。少しそなたに話があってな」
 明美は僅かに首を傾げる。こう改まって言われることは、ここに来てから初めてだった。
「どんなお話でしょう?」
「そなたに将軍の地位を与えようと思うのだ。そなたの冷静に物事を見る資質と、ハティンを用いて、私に力を貸して欲しい。どうか?」
「………」
 明美は驚きと喜びで言葉を失くした。
 まさか心から敬愛するこの女性から、そんな風に頼みごとをされるとは思いもしなかったのだ。
 もちろん、答えなど決まっていた。
「陛下のお役に立てるなら。ありがたく、その地位受け取らせて頂きます」
 明美が深く頭を下げると、女王は嬉しそうに目を細めた。
「では、そなたは今日から『青』の将軍だ。他の、『赤』『紫』の将軍らと共同で仕事をこなして欲しい」
 そこまで言って彼女は言葉を切り、少し重たい口調で続けた。
「そして最初の任務だが……」

 女王の言葉に、明美は微笑んで了承した。
「もちろん、引き受けさせて頂きます」
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